KIPP対人関係論カウンセリング講座

終了いたしました。現在、次回開催の企画中です。情報公開までお待ちください。

KIPP対人関係論カウンセリング講座-体験の共有に基づく心理相談-

KIPPでは対人関係論をもとに、心理療法の訓練とサービスを手がけてきました。また、最近では組織や集団を活性化する組織心理コンサルテーションにも取り組んできました。他者との体験を共有するコミュニケーションは、心の健康にとっても、組織の活性化にとっても欠かすことができません。この講座では、カウンセリングという対人援助の技法に、こうした対人関係論や組織論の考え方を組み込ませながら、さまざまなワークを取り入れて、実践的に学んでいただくように工夫しています。

新型コロナウイルス感染拡大により、第3回以降が中止となりましたが、この度、オンライン開催の形にリメイクし、再開することといたしました。受講者には、さまざまな領域で心理支援に携わっている臨床心理士等の心理職員や心理相談員、および、福祉や教育などさまざまな立場で相談業務に関わっている福祉施設職員、教員、看護師、保育士など、対人援助に関わる様々な職種の方々を想定しています。
講師陣は、KIPPで心理療法の訓練を受けた臨床心理士です。精神分析的心理療法の訓練と実践を通して得た知識と経験をもとに、さまざまな職種の方に活用していただけるよう、オリジナルの講座内容をプログラムしました。多くの方の参加をお待ちしております。

講師

川畑 直人 Kawabata, Naoto (第1回・第4回・第6回講師)

京都文教大学臨床心理学部教授、同大学産業メンタルヘルス研究所副所長、日本臨床心理士養成大学院協議会会長
臨床心理士、公認心理師、教育学博士、WAWI精神分析家、WAWI児童・青年心理療法家
著書:
『臨床心理学』(共著、培風館)
『対人関係精神分析の心理臨床:わが国における訓練と実践の軌跡』(監修、誠信書房)
訳書:
S.ビューチュラー『精神分析臨床を生きる』(監訳、創元社)
F.パイン『欲動、自我、対象、自己』(監訳、創元社)

長川 歩美 Osagawa, Ayumi (第2回講師)

A&C中之島心理オフィス主宰
臨床心理士、KIPP精神分析的心理療法家

今井 たよか Imai, Tayoka (第3回講師)

広島市立大学国際学部保健管理室准教授
臨床心理士、公認心理師、KIPP精神分析的心理療法家

馬場 天信 Baba, Takanobu (第5回講師)

追手門学院大学心理学部教授、同大学心理学科長
臨床心理士、公認心理師、精神分析学会認定心理療法士、KIPP精神分析的心理療法家

各セッション内容


1
「対人関係について考える」
講師:川畑 直人
日時:2020年1月18日(土) 13:00-17:00

対人関係論を提唱したサリヴァンの理論を、なるべく分かりやすく解説し、6回の講座の共通基盤を作ります。特に、私たちが普段、対人関係をどのように体験しているのかについて、その主観的な要素、個人的に歪曲する側面に焦点を当てます。そして、それをいかに他者と共有できるものに変えていけるのかについて考えてみたいと思います。
演習では、他者が抱く第一印象が、どのようにつくられるのか、それがどのように自己イメージに影響するのかを、グループ・ディスカッションを通して体験していただきます。

講義
①対人関係を求める存在としての人間について
②対人の場の統合と、統合を妨げる要因
③不安を避けるための安全保障操作
④パラタクシスをシンタクシスに

演習1
初対面の印象形成ワーク;初対面のグループ内でお互いの印象を述べ合い、自分の実感と違うさまざまなイメージが投影されることを実体験するワークです。

演習2
思い込み体験のシェアリング;受講者自身の経験した「自分の思い込みに気づいたエピソード」を、小グループ内で話し合い検討します。

2
「生き生きとした対話における傾聴」
講師:長川 歩美
日時:2020年2月15日(土) 13:00-17:00

どのようなコミュニケーションにおいても傾聴が重要であることは変わりません。相手の話をじっくりと聴くということは、対人関係を築く上で最も重要な基礎を作ります。ただ、一方的に話を聴き続ける・聴き続けられるという関係は、双方にとって苦痛になることがありますので、対等な応答性も重要です。この講座では、対人関係論が大切にする対等な応答性を保ちながら、聴くべきポイントはしっかり聞くという傾聴の姿勢について考えてみたいと思います。

講義
①対人関係における傾聴の意味
②カウンセリング理論と傾聴
③閉じられた質問、開かれた質問と傾聴
④共感と傾聴、応答性

演習1
3つの聞き方;無視する聞き方、うなずく聞き方、応答する聞き方の3種類を経験したうえで、感じたところを共有します。

演習2
他己紹介;ペアを組んで相手の話を聞き、みんなに紹介する。今やポピュラーなアイスブレイクですが、どれだけ相手の話に食い込めるかに焦点を当てます。

演習3
フィッシュボウル(金魚鉢)形式の対話の練習;観察者が見守る中でロールプレイを行うというフィッシュボウル(金魚鉢)形式のワークです。対話の様子を見ていた第三者から感想をもらいながら、対話のコツを習得していきます。

3
「サポーティブな関わりの方法」
講師:今井 たよか
日時:2021年2月6日(土) 13:00-16:00

カウンセリングは具体的な目標をクライエントと合意しながら進めます。いくつか目標を立てたら、それに向かってクライエントが動機を維持し、自我の適応的な側面をできるだけ有効に用いて内省を深めながら行動できるようにカウンセラーがサポートしていきます。クライエントはカウンセラーと二人三脚で目標に向かって進む経験をするのですが、その経験を通してクライエントの自尊感情が高まるようにカウンセリングの流れを支えることもカウンセラーの大切な仕事です。今回はクライエントをサポートしてカウンセリングを進めるための介入技術を学びます。

講義
①目標と合意
②アジェンダの作成
③賞賛・保証・励ましなどの言葉の技術
④助言と心理教育

演習1
仮想カウンセリングセッション#1)ペアでお互いに仮想の主訴からカウンセリングの目標を作り、どのようにそれを実行するかを話し合います。

演習2
仮想カウンセリングセッション#2)#1で立てた計画にしたがってどのようなことになったかを想像で話し合い、賞賛・保証・励ましなどの言葉の技術を用いて動機づけを高められるかどうか体験してみます。

4
「カウンセリングで生かす質問の技術」
講師:川畑 直人
※第4回講師は今江秀和より変更となりました。
日時:2021年2月27日(土) 13:00-16:00

対人関係論では質問はもっとも重要な臨床的介入技法のひとつと考えられています。単に相手から情報をもらうということではなく、これまで意識してこなかったことに興味を持ち、それについて考えてみるということ促すことができるからです。そのためには、カウンセラーの側が、生き生きとした好奇心を持っていなければなりません。そのことの意味を考えながら、今回もフィッシュボウル形式のワークで質問の仕方を実践的に学んでいきます。

講義
①カウンセリングにおける質問の意味
②探索を促す質問、探索を閉ざす質問
③不安勾配
④人間における好奇心とそれを閉ざすもの

演習1
例題によるグループ討論(事例の概要を例題として示し、それについてどの点に関心を持ったか、グループで話し合っていただきます。)

演習2
対話の練習(観察者が見守る中でロールプレイを行うワークです。対話の様子を見ていた第三者から感想をもらいながら、質問のコツを習得していきます。)

5
「防衛の理解と言及の仕方」
講師:馬場 天信
日時:2021年3月20日(土) 13:00-16:00

私たちは、不快な体験、自尊心の傷つき、対人関係における不安を軽減するために、さまざまな対処方法を身につけています。防衛と呼ばれるこうした心の働きは、複雑な対人コミュニケーションを理解する上で不可欠です。防衛は誰もがある程度は現実適応のために使っているものですが、それが過剰になるとかえって不適応的な状態を作り出します。カウンセリングのコミュニケーションではそうした防衛のあり方に言及する場面がでてきます。それは、対象者の問題解決にも直結する、重要な介入の一つにもなります。この回では防衛についての理解枠と、それに対する言及の仕方について検討します。

講義
①防衛概念の歴史
②防衛と安全保障操作
③さまざまな防衛機制
④防衛と性格スタイルの関係
⑤防衛について言及する方法

演習1
防衛のリストに基づくグループ討論(さまざまな防衛の種類を示す一覧のリストをもちいて、日常の対人経験からその例を見つけ出します。グループで話し合うことで、視野を広げることを目指します。)

演習2
対話の練習(観察者が見守る中でロールプレイを行うというフィッシュボウル形式のワークです。対話の様子を見ていた第三者から感想をもらいながら、防衛についてどのように言及すれば良いか検討していきます。)

6
「組織の視点からカウンセリングを考える」
講師:川畑 直人
日時:2021年4月17日(土) 13:00-16:00

カウンセリングを活用する対人援助の仕事は、何らかの組織の中で行われます。したがって、組織というものについての理解がないと、有効にカウンセリングを行うことができません。この回では、組織心理コンサルテーションで使うBART(境界、権限、役割、課題)という概念を使って、カウンセリング場面を考えていきます。カウンセリングを行う場の設定、枠組みの作り方、守秘義務など倫理や職責の理解を促し、さまざまな職場でカウンセリングを生かす方法を検討します。

講義
①組織心理コンサルテーションについて
②BART
③カウンセリングの場をBARTで考える
④職場におけるカウンセリングの位置づけ方

演習1
BARTに関するグループ討論(研修会場を一つの職場に見立ててBARTの概念を用いて分析していただきます。グループで話し合うことで、視野を広げることを目指します。)

演習2
職場絵図(受講者がカウンセリングを行うと想定される場面を図像化してもらいます。その図を用いて、BARTの特徴をグループで検討していきます。)

セミナー概要

日時第1回 2020年1月18日(土)
第2回 2020年2月15日(土)
第3回 2021年2月6日(土)
第4回 2021年2月27日(土)
第5回 2021年3月20日(土)
第6回 2021年4月17日(土)

各回13:00-16:00
スケジュール(予定)
12:30-12:50 参加者受付(入室)
13:00-13:40 講義#1
13:40-14:20 ワーク#1
14:30-15:10 講義#2
15:10-15:50 ワーク#2
15:50-16:00 まとめ
会場オンライン(zoom)
対象さまざまな領域で心理支援に携わっている臨床心理士等の心理職員や心理相談員、および、福祉や教育などさまざまな立場で相談業務に関わっている福祉施設職員、教員、看護師、保育士など、対人援助に関わる様々な職種の方々。
受講料各回5,000円(税込)
定員各20名 (先着順)
申込方法受付は終了いたしました。
申込の流れお申込受付後、メールにて、申込内容が記載された「申込受付票」と、受講料振込先をお送りいたします。
内容をご確認いただき、銀行等から受講料をご入金ください。
ご入金確認の連絡はございませんので、お振込時に発行される明細書等の保管をお願いいたします。
※迷惑メール対策等で、ドメイン指定受信を設定されている場合に、メー ルが正しく届かないことがございます。「@kipp-u.co.jp」のドメインを受信できるように設定をお願いいたします。

お申込後、3営業日以内にご連絡いたします。3営業日以内に連絡がなかった場合は、恐れ入りますが、再度お申し込みいただくか、seminar@kipp-u.co.jpまでご連絡ください。
申込締切受付は終了いたしました。
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